政宗と俺はいろいろな点で似ている。



俺とあいつの類似点でたいていのヤツが真っ先に挙げるのは互いの隻眼だろう。
俺は左目、あいつは右目という違いはあれどまず気づくのはそこだろう。

その次に、俺たちを知るやつなら互いの気質が似ていることを指摘する。早い話が二人ともアニキ体質だということだ。自分で言うのもなんだが、面倒見がよくて、気風がよくて、ノリもいい。“アニキ”と“筆頭”は部下にもこよなく慕われていて、統率者に似るものなのか両軍もどこか似通っている。


冬よりも夏が好き。
川魚よりも海水魚のほうが好き。
政務をさぼっては部下に怒られる。
堅苦しいのがきらい。
辛い酒は好きだが唐辛子の辛さは苦手。
南蛮に興味を持っているところも似ているかもしれない。俺は技術、あいつは文化、とこれに関してはその興味の方向にズレがあるわけだが。


俺たちは戦う目的こそ違えど、理由も同じだ。あいつが求めるのは地上の覇権。俺が求めるのは海上の利権。けれど、いざとなれば俺もあいつも守るために戦う。大切なものを傷つけさせないように。大事な人たちを守れるように。あいつは破天荒だが考えなしではない。自分の行動の与える影響、及ぼす結果をいつも考えている。そしてそれは、俺も。



俺たちは似ている。とはいえ、もちろん違う点のほうが多い。
俺のほうが背が高くがたいもいい。政宗は背は割りと高いがどちらかといえば細身だ。力技の多い俺に対し、政宗は速さや技術で勝負。あいつは細いし力も俺のほうが強い。けれどなぜかあいつの握力には叶わない。
あいつは書を読み風雅を愛するが、俺は勉強なんて大嫌いだ。風雅の情趣を解さないわけではないが、造詣が深いわけでもない。
俺は海を愛し宝を求めて諸国をさすらうが、あいつは己の守護すべき国を愛し守るためにそこに留まる。足の速さは同等。泳ぎは圧倒的に俺が上。けれど馬を操らせればあいつにはとてもじゃないが叶わない。俺は料理ができないしあいつは釣りが下手。だから俺が釣った魚をあいつは料理する。


なかなかうまくできてるもんだ。
こうして考えてみれば妙に感心する。似てるところが多いから俺たちは意気投合して、違うところも多いから互いに補うように求め合う。
そうそう国を離れようとしない政宗のところに、一所に留まるのが苦手な俺が釣った魚を土産に会いにいく。手合わせをするにも、自分とまったく異なる戦い方、異なる技を持つ相手と戦うのはいい鍛錬になる。住んでいる場所も遠いからそうそうよく会えるわけではないが、たまに会えば嬉しさも一入(ひとしお)。

だからこうやって。

こうやって、友情とも信頼とも愛とも恋ともいいきれない、けれど太く頑丈な絆を繋ぐに至るわけだ。




俺と似た人




同じではないから面白い。
2009.11.1〜12.18 web拍手お礼文




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