俺は、なぜかいつもあいつと一緒にいる。
あいつと過ごす時間は、心地好い。
だから、気がつけばいつもあいつの隣にいる。
君とすごした時間(とき)
例えば
3年前のあの夏の日。
俺たちは、先輩たちを目指して、たくさん自主練もして、先輩たちのプレーを目に焼き付けて、少しでも上達しようと必死にラケットを振った。
その時も、あいつは隣にいた。
それとも
2年前の夏は、
2人で全国に行った。照りつける日差しの中、2人で力をあわせて、練習メニューも新しく考えて、ただ勝つことだけを想って、黄色い小さな球を夢中で追いかけた。
その時も、あいつは隣にいた。
近いところでは
去年の夏の日。
協力し合って部をまとめて、支え合って、全国を目指して一心にコートを走った。最後だったから、どうしても勝ちたかったから、いつもの倍以上練習した。
その時も、あいつは隣にいた。
そして今も
俺たちは隣で笑いあいながら、小さな黄色い球を夢中で追いかけコートを一心に走ってラケットを必死に振っている。
先輩たちにも負けないように自主練もしてより効率的な練習メニューも考案して、去年や一昨年よりもさらに練習した。
勝つために。
大好きなテニス。
テニスは、楽しい。
見るのより、やるほうが楽しい。
勝てば、さらに楽しい。
あいつと一緒なら、もっともっと楽しい。
あいつと一緒に勝てば、何より楽しい。
勝ったほうが楽しいから。
だから、俺たちはそのための努力を惜しまなかった。
きっと、俺たちはこれからも時の許すかぎりこうやって隣で笑いあいながらテニスをしているんだろう。
大好きなテニスを
大好きな相方と。
今でも、耳に残っている先生のあの言葉。
テニスは楽しいですか?
口癖のように、時々笑いながら聞いてきた。そのたびに、俺たちはこう答えたっけ。
「はい、先生。とても、とても楽しいです。」
そうやって言うと、嬉しそうに目を細めて
そう、それは何より。やっぱり、テニスは楽しくやりませんとね。
と言ってた。それは、先生のテニスに対しての信念だった。そして、俺の、俺たちの、山吹中男子テニス部全員の信念だった。
「テニスは、楽しく…。言われなくても、分かっていますよ。」
笑いながらそう答えると、満足げにうなずいて言った。
それでは、もう何も言うことはありませんね。
自分で書いておきながらなんですが、最後の判爺の言葉、遺言みたい…。いや、彼はまだ生きておりますよ?きっと、彼はきっと殺しても死なないでしょう。
一応設定としては、地味’S高1の夏…といったところでしょうか?2人で一緒に練習していて、そういえばこいつとずっと一緒にいるなぁ見たいな感じで。やっぱり、ダブルスを組んでいるんです。
ちなみに、作中には出てきませんでしたけど、千石も同じ高校です。そして、相変わらず南に迷惑をかけています。
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