不器用なやつだ。

真っ赤になりながら俺に手を伸ばす男を見るたびにそう思う。全身で俺に愛していると叫びながらもいざ行動に移そうとすればしどろもどろになって失敗ばかり。
団子をのどにつまらせたり、一緒に水浴びしようとして鼻血をふいたり、鍛錬に気合が入りすぎて城の壁を壊したり。

少し思い出すだけでも数え切れないほどの情けない姿。今だって、もう何度も繰り返した接吻に真っ赤になって体を強張らせ、勢いづけたおかげで歯と歯がぶつかった。
まったくcoolじゃねぇな。
子どもはきらいじゃないけれど、恋人にするならもっと大人なやつがいい。たとえば、小十郎のような。

(嗚呼、けれど)

「お慕いしております、政宗殿」

顔を真っ赤にしつつも、ぎこちないが力強い腕で俺を抱きしめて、とろけるように幸福そうな笑顔でそうささやくものだから。

「…me, too」


不器用な男でいい。上手に愛をささやくことができなくても、接吻のたびに歯をぶつけられても、暑苦しくてうるさいばかりの男でもいい。
こうしてまっすぐに笑ってくれる、この男がいとおしい。








そのままの君が好き
旧拍手お礼文(2010.10.2〜2011.9.27)



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