あの人について思うこと
サスケについて思うこと(ナルト)
「サスケ」
多分、オレにとってこの世界で誰よりも意味を持つ人。
ずっと、ずっと一緒にいたかった。
これがどんな感情なのか知らないけど、でも、あいつの瞳にオレが映らないのがいやだった。
あの声でオレの名前を呼ばれなくなるのがいやだった。
あいつが大蛇丸のところに行ったとき、どこかに穴が開いた。
サクラちゃんみたいに涙を流すことも、シカマルみたいに淡々と前を見ることも、できなかった。
ただ、空元気を出して虚しい作り笑いを浮かべて虚勢を張って声を張り上げることしかできなかった。
いろいろなことを、思い出す。
あの桟橋で幼い日に目があった瞬間。
あの教室で不慮の事故によりキスをしてしまった瞬間。
あの慰霊碑で一緒に下忍になった瞬間。
あの橋の上であいつがオレをかばった瞬間。
あの中忍試験で共に戦った瞬間。
あの……
一緒にいた時間は、正直なところあまり長くない。
でも、どうしてだろう。
ずっと、ずっと一緒にいたみたいな気持ちになる。
オレの時間があいつに埋められていく。
だから、あいつが里を抜けた今も。
この心に一人だけを願い続けるのは、よくないことなのだろうか?
たった一人のために、この忌まわしい九尾の力さえ解放することを厭わないオレは、間違っているのだろうか?
ただ、あいつの隣は落ち着かなくて、それ以上に居心地がよかった。
オレはあの場所を取り戻したい。
あるがままのオレを無言のまま受け入れて、何も言わずに心を預けてくれた。
あんな居心地のいい場所を、オレはほかに知らない。
これはオレのわがままだ。
でも、オレはサスケのそばにいたい。
サスケに、帰ってきて欲しい。
オレはいつか火影になるから、そのときサスケに隣にいて欲しい。
あいつの声で名前を呼ばれたい。
暗い憎悪の篭もる声でなく、あの冷静なくせに挑発的なあいつ本来の声で。
「ナルト」
「サスケ」
なあ、それはもう、遠い未来の話じゃないだろう?
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