あの人について思うこと
カカシ先生について思うこと(サクラ)
はたけカカシ
不思議な人だと思う。
行く先会う敵みんな、先生のことを知っている。
二つ名もたくさん持ってて、「木ノ葉最強」と言われてることすらあった。
でも、正直なところ初めてそれを聞いたとき、「嘘でしょ」って思った。
だって、私の知ってるカカシ先生はやる気のなさそうな顔して、いかがわしい本をいつも読んで、遅刻ばっかりしているいい加減な上忍。
そんなすごい人だなんて、思えなくて当然でしょ?
第一印象は最悪だった。
いきなり向けられた「キライ」の一言。
そのあとの自己紹介でもわかったのは名前だけ。
ヘンな人。
それが、第一印象。
「仲間を大切にしない奴は、それ以上のクズだ」
「オレの仲間は、絶対、殺させやしなーいよ!」
でも今は、それだけじゃないことも知ってる。
時々、先生は深い悲しみを覗かせる。
普段は綺麗に隠しているのに、たまーに、それが顔を出す。
誰よりも“仲間”を大切に思う人。
「チームワーク」
先生が私たちに教えてくれた何よりも大切なもの。
今、私がどれだけ必死にかき集めようとしても腕の隙間から、指の間から、零れ落ちてしまうもの。
本当は、何よりも大切なものなのに。
私たちは、それを知っているはずなのに。
「オレの自慢のチームだ!」
中忍選抜試験に続くドアの前。
「さあ、行ってこい!」
そう言って笑ったカカシ先生は、嬉しそうな誇らしそうな顔をしていた。
私は、あの瞬間を忘れられないと思う。
お互いに第一印象最悪だった私たちの出会い。
でも、あの時、私たちは確かにひとつだった。
同じものを、見つめていた。
心に描いたのは、第七班の4人でこれからもずっと一緒に走っていく姿。
他愛ない、理想の未来。
「オレと今から…戦え!」
「オレも、お前と戦りたいって思ってたとこだ…」
「やめてェ!!」
何度も、夢に見た。
あの瞬間。
あの恐怖。
あの悲しみ。
失う恐怖(何を?)
置いていかれる不安(誰に?)
壊れてしまう予感(どうして?)
中忍選抜試験の始まり。
あのドアの前。
私たちは、あんなにもひとつだった。
みんな、互いに認め合って、大切に思いあっていた。
最高の、チームだった。
「大じょーぶ!」
あの瞬間、夢の中、不安に泣き崩れる私を救ってくれる唯一の声。
「また、昔みたいになれるさ!」
本当は、知ってる。
誰よりも、カカシ先生こそがその言葉を信じたいんだって。
私に言い聞かせると同時に、自分に言い聞かせていたんだって。
ねえ、カカシ先生。
私たち、似てるのかもね。
私もカカシ先生も、同じことを祈ってる。
同じものを、求めている。
同じものを、見つめている。
今のサスケくんには、サスケくんのお兄さんとナルト。
たった二人しか、映らない。
今のナルトには、サスケくん。
たった一人しか、映らない。
寂しいね。
哀しいね。
くやしいね。
第一印象は最悪だった。
今でも、ヘンな人、不思議な人だと思ってる。
忍としての実力は最高。
でも、本当はきっと誰よりも寂しがりやな優しい人。
それが、私たちのカカシ先生。
銀の髪の、寂しい優しい忍者。
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